| 秋色種 <曲の解説> 演奏会によくかかる長唄です。 唄は殆ど歌わず、三味線の聞かせ所(合方)をしっとりと演奏します。 ♪<歌詞>♪ 秋草や 松虫の音が (虫の合方) 楽しき すががく琴の 爪調べ (琴の合方) とにもかくにも 秋の色種 越後獅子 <曲の解説> 有名な長唄で、日本舞踊の舞台でもよく見られます。立って弾き、少しですが踊りもおどります。 俗曲「浅草参り」という替え歌も作られていますが、現代にそぐわない歌詞もあるため、私はその又替え歌にしました。。 ♪<歌詞>♪ 弾くや三味線 音も澄みわたり マーサ☆リノイエ歌います 居ながら見する江戸時代 浮世を渡る風雅者 歌うも踊るも語るのも 一人三味線弾き唄う 浅草参り 両国通れば隅田の川に どんどこどんどこどんどこどんどん 花火舟 川開き 玉屋と鍵屋の競う華 並木 駒形 花川戸 ちょいと行きゃ 吉原 仲ノ町 そこな雷門で 飛んだり跳ねたり踊ったり おもちゃ仲見世五十軒 ござれ参りましょうぞ 観音様に参詣して あとは奥山見物 こん駒廻し (晒の合方) (踊りでは晒を振ったり下駄タップがあったりと楽しい曲。私も撥を回したりして踊ります) 見渡せば見渡せば 西も東も花の顔 いずれ賑おう 人の山 人の山 唄う細棹 手にスルスルと 唄う細棹 手にスルスルと 長唄 越後獅子の ほんの一節 (元の歌詞は「晒す細布 手にスルスルと」) (SONGSに戻る) (ホームに戻る) 神田祭 <曲の解説> 天下祭りとも呼ばれた「神田祭」は山王祭と隔年で行われていました。。現在は5月15日ですが、江戸時代には9月のお祭り。 木遣り衆や手古舞姿の芸者が先導する、立派な山車。山車に乗っているのは「吉住」や「杵屋」と歌詞に盛り込まれています。 大正時代路面電車の運行の妨げになるという事で、現在は神輿のお祭りになっていますが、江戸時代の山車見てみたかったですね。 ♪<歌詞>♪ 神田祭を待つ宵の 神酒所に活けた夫婦花 誰が手すさびか白菊と 黄菊の露も新しく 飾る名家の金屏風 行き交い繁き辻辻に 重ね言葉も聞きなれた ご祭礼お祭り番付 八つ八通りに 変わる文福茶釜 七つの鐘はいつついたやら (合方) オーンヤリョーイ 黄金花咲く 豊かな御世に ソレ締めろや 中綱 エーンヤリョーイ 伊達も喧嘩も江戸の花 その花笠の咲きそろう 桜の馬場へどうどうと 寄せ来る人の波間より 光まばゆく登る日の陰 (SONGSに戻る) (ホームに戻る) 紀文大尽 <曲の解説> 紀伊国屋文左衛門を唄った長唄です。 本来は「二代目紀文」が偉大な父親に持つ劣等感や、花魁「几帳」の恋心、また幇間の「二朱判吉兵衛」が作った「紀文大尽舞」なども唄われているのですが、シンプルに初代紀文の成功、豪遊だけにスポットを当ててみました。 ♪<歌詞>♪ (舞台は嵐の遠州灘から始まります)音楽(大薩摩 嵐の様子)(嵐収まって) ♪時に正保元年 霜月はじめ 続く嵐に海荒れて 船はものかわ 鳥さえも 通わぬ八丈 波の上 柱も折れよ 帆も裂けよ 経帷子に 縄だすき 命知らずの船子ども 櫓声合わせて エッシッシ たださえ難所と 呼ばれたる 遠州灘を乗り切って 品川沖に現れしは 名にし 紀の国 蜜柑船 (元禄時代、神田鍛冶町では、年に一度のふいご祭りで、屋根から蜜柑をばらまく風習がありました。 ところがその年に限って、江戸中に一籠のみかんもない。そう、海が荒れて紀州から蜜柑が届かないのです。 あぁ今年のふいご祭りは中止かなぁと、力なく海を眺める人達の目に、ある日、沖の暗いのに白帆が見えたわけです。 さぁ、江戸の人達の、喜んだ事と言ったら!) ♪積んだ蜜柑は八万五千籠 陸に運んで 車に乗せて 乗せた車は 八百五十両 ひけやひけひけ 神田の市へ ふいご祭りの折からに 蜜柑の払底 時を得て 一挙に握る五万両 (蜜柑で大もうけした文左衛門、その後材木商として押しも押されもせぬ豪商となり、紀文大尽と呼ばれるようになりました。 (中略)紀文大尽にはライバルがおりました。奈良屋茂左衛門。通称奈良茂。やっぱり材木商です。二人は犬猿の仲でした。 (中略)その日も紀文大尽、吉原のお座敷で花魁といちゃいちゃしておりましたら、奈良茂が遊んでいるという噂が耳に入りました。 おりよく座敷に入ってきたのは、お気に入りの太鼓持ち「二朱判吉兵衛」…) 「おぉそこへ見えたは二朱判吉兵衛 向かいの茶屋で奈良茂めが 雪見の酒盛り いまたけなわじゃと聞いたが 誠か」 「なかなか」「大尽冥利 その雪消して…奈良茂に一泡吹かせてやるか…おい吉兵衛、耳を貸せ」 (二朱判吉兵衛の耳元でなにやらささやく紀文大尽、やがて太鼓持ちは心得顔で座敷を出て行きます。さぁここからがお祭りのはじまりです) ♪太鼓の二朱判 旨を請け 黄金色なす三百両 小判に小粒 かきまぜて 黄色い雪がそりゃ降るぞと 表にバラバラ 撒き出だせば 砂糖に集うアリの群れ 人波どっと押し寄せて こけつ まろびつ 奪い合う 塵もとどめぬ 白妙の 雪の眺めは たちまちに 踏み返されて 泥の海 ♪沖のナー 暗いのに白帆が 白帆が 見ゆる あれはナー あれは紀の国 蜜柑船じゃえ (二朱判吉兵衛という男、紀文大尽のために「紀文大尽舞」という曲を自分で作って踊っていたというのですが、 皆様にはかっぽれの一節をお聞きいただきまして、花のお江戸の豪快勝ち組伝説、本日はこれまで) ♪前代未聞の紀文の豪興 廓一番 並びなき その全盛の一節を ここに伝えて 後の世語り (SONGSに戻る) (ホームに戻る) 綱 館 <曲の解説> 渡辺の綱の話です。座って弾きます。 ♪<歌詞>♪ ♪さるほどに (さるほどにと始まりましたが犬サル雉のサルではありません。 長唄大薩摩という手法にはこういう始まり方をするものが多いです。 今の言葉で言うと「というわけで」「っていうかー」という意味です) ♪渡辺の源氏綱は (渡辺の源氏綱、平安時代の武将です。 源の頼光の家来、四天王の一人として、大江山の酒天童子・土蜘蛛などを成敗したことで知られております) ♪また九条羅生門にて 鬼人の腕を切り取りしこと (鬼の人と書いて鬼人、羅生門に住む茨木童子の腕を切り取ったという) ♪武勇を 天下に輝かせり (茨木童子は逃げる際「必ず七日のうちにその腕取り戻しに参るぞ」と申しましたので、 綱は安部清明に相談いたしまして、七日間の物忌みに入ります) ♪綱は七日の物忌みして (物忌みと言うのは門を閉じお札を貼り身を清めお経などを読んで過ごす事です。 勿論その間、ふらふらと外を出歩いたり、外から来た人を家の中に入れることは決して許されません。 要するに家の中に結界を作るわけです。 今でもお葬式の時などに、家の門口に「忌中」という札を貼りますね、これはその頃の名残です) ♪門戸を閉じてぞ いたりける (綱が茨木童子の腕を切り取ったという噂は都ばかりか、綱のふるさと攝津の国にも伝わります。 噂を聞いた綱のおばさん、育ての親、もう居ても立ってもいられません。 わが子同然に育てた綱の立派な姿を見たいの一心で、 曲がった腰をぐっと伸ばし、綱に逢いに杖をついて摂津の国からはるばる都までやってまいりまして) ♪綱が舘へ着きにける ♪門のそともにたたずみて 「いかに綱 津の国の叔母がはるばるまいりたり この門開きそうらへ 疾く開け召されい」 ♪内には綱の声高く「はるばるとの御出でなれど仔細あって物忌みなれば 門のうちへは叶わず候」 「なに?門のうちへは叶わぬとな?」 「是非に及ばず候」 ♪あら曲もなき(なんとまぁひどい言い草だこと) ♪汝が幼きその時は 自ら抱き育てしを (暑い夏は扇で扇ぎ、寒い冬は布団を重ね、いつくしみ育てたその恩を) まさか汝は忘れたか?えぇ、えぇ哀しやと 声をあげてぞ泣きたもう ♪さしもに猛き渡辺も あくまで叔母に口説かれて 是非なく門を押し開く (三重) (ついに物忌みを破ってしまいました綱 それでも久しぶりにあった育ての親です。 さぞお疲れでしょう、お食事をどうぞ、お酒もありますよともてなしているうちに段々心もほぐれてまいります。昔話に花を咲かせておりますと、ふとおばさん、こんな事を言い出します) ♪ところで綱 鬼人の腕を切り取りし武勇の程 およそ天下に隠れ無し してその腕はいずれにありや ♪すなわちこれに と 腕(かいな)箱より取り出だし 叔母の前へと差し出だせば ♪その時叔母はかの腕を 眺めすがめついたりしが 次第次第に 面色変わり かの腕を 取るよと見えしがたちまちに 鬼人となって飛び上がり 破風を蹴破り現れ出でて あたりを睨みて声高く ♪いかに綱 われこそ茨木童子なり わが腕を取り返さん そのために ここまで来ると知らざるや(わ〜っはっはっは) ♪綱は怒りて 足踏み鳴らし 斬らんとすれども 虚空にあり (えーい 茨木童子 卑怯なり 降りてまいれ) ♪いかにかなして討ち取るべしと 思えど次第に黒雲覆い 鬼人の姿は消えにけり 鬼人の姿は消えにけり (SONGSに戻る) (ホームに戻る) 鳥羽絵 <曲の解説> 私の歌っている「鳥羽絵・大津絵」という曲の元になっている曲です。 どこを使っているかわかりますか? ♪<歌詞>♪ どっこい〆たぞ 〆たぞどっこい オットそこらは瓢箪で 押えてみても ぬらりくらり 〃 ぬるりと滑った とこまかしてよいとこな 逃がしゃせぬ わけも何やら絵に書いた 鳥羽絵というも仇つきの 仇な文句で やってくりょ 思うお方のお声はせいで 上がるお客の 面憎や 私ははじめてそんな事 聞いて嬉しき 初雁の ふみにも釘のにじり書き 見えぬ按摩や瞽女の坊 巳待の晩の暗がりが 味な縁では アァあるまいか アァラ怪しし(四四)の十六文で 九官鳥は見たれども 擂粉木に羽が生えて 鳥羽絵はホンに我ながら オヤ馬鹿らしい いでや捕らえてくれんずと 足を伸ばして取らんとすれば 鳥はついと飛んで逃げた エエあったら物を そばに有り会う釣瓶竿 狙いすまして身づくろい お前餌差か 知らねども 私ゃ連木の鳥じゃもの ご縁ござらば今度〃来てさしねえ をかしらし そりゃ来た〃 行列揃えて 振り込め〃 よんべも三百はりこんだ 裸で道中がなるものか あれわサのサ これはサののサ よい よい よい よい よやまかせ 面白や たわれ拍子に浮かれ来て 瓢箪から駒が出た めっそな〃瓢箪で 駒に打ち乗り しゃんぐしゃぐ 浮きに浮かれて 走り行く 瓢箪鯰 <曲の解説> 鳥羽絵同様、「鳥羽絵・大津絵」という曲の元になっている曲です。 長唄に限らず、江戸の文化は、言葉遊び・洒落がいっぱい。聞くだけで読むだけで面白いものも沢山あります。 ♪<歌詞>♪ 筆に戯れ絵の戯れや どっこい〆たぞ しゃんとこい〃 汝元来 地震の孫曾孫 やしゃごかひしゃごか 小癪な 身震い 鹿島の神の ご夢想相伝受けて押える よもや抜けじの 瓢箪ぼっくりこ ぼっくり押えて ぬらりぼっくり ぼっくりぬらりと 抜けたは お蔭の伊勢参り 裸で道中 双六の 泊りは沼津 わりゃ鯰 髭の看板顔見世の 愛嬌入道濡れ坊主 濡れはききがた池の中 友朋輩の鯉鮒や すっぽんどん亀踊り子の 泥鰌の当て振り 浮き拍子 浮気のんき 川ぜせり 春ながらまだ ぞっとした 風は鯰のヒレしぶき お寒かろうと吉田屋の 気障な花色もみくちゃな羽織似合わぬ大尽気取り 鯰にいんではこの胸が醒めぬ心の内にも暫し 飲むはゆかりの 茶碗酒 またお押さえのお手元は しつこい飲み手じゃ ないかいな いいや逃がさぬ 昔もかかる試しあり 仙台の仙台の大川普請のあった時 鯰一匹とらまえて 行水させて髭抜いて 頭巾かぶせて袖なし羽織 青傘ささせて飴売りに 小唄踊りに 出したれば 土平と名をつけ評判男 辻や町々 お子様方が どちら向いても 土平 〃 と 土平と言たとて何故腹たちゃる このよいよいよいとまかせて 小手がらみ あわぬ相撲の四股踏みならし 瓢箪鯰の根競べ 可笑し珍し阿呆らし 笑おカラスや朝トンビ かけたか 逃げたか雲霞 他へはやらじと追うて行く 〃 (SONGSに戻る) (ホームに戻る) 百鬼夜行 (歌詞のみ) <曲の解説> 長唄の先生に、踊り用の詞を作らせていただきました。 立派な先生方に演奏して頂き、手妻の入った素晴らしい踊りをつけていただき、大感激! 国立大劇場で「もののけ村 夜や更けて」というタイトルで上演されました。 ♪<歌詞>♪ それ 山も黒々 夜や更けて 人の造りし 淡海(あわうみ)に 沈められたる もののけ村の 影の浮かびて おそろしき 首を長うして 長うして 指折り数えて ひぃふぅみぃよぉ いぃむぅ ろくろ首 首を伸ばして 待つその時は 水底(みぞこ)に沈みし もののけ村の 黒き水より 浮かぶ時 ゆらめく行灯 二八の蕎麦屋 のっぺらぼうの ぶっきらぼう やぶからぼうに あわてんぼうの 金棒引きが現れて 金棒片手に つるりと撫ぜるは 鼻も目もない ずんべらぼう 「火の用心」 一つ目鬼が 追ってきて その金棒はわしのもの この目を盗んで 金棒盗るとは 不届き千万 金棒返せと 赤くなったり 青くなったり 雷さんも 加勢にかけつけ 太鼓を叩けば どんがらがった どんどん 雨じゃ 雨じゃと 傘探しゃ おりしも通る 唐傘の 骨はバラバラ 紙ゃ破れ 一つ目ぎょろりと 舌出して 一本足で ピョンピョンと わしでよければ 使うておくれ 末広狩か 破れ傘 末広がりか 傘化けか いつしか 四方のもののけの 集い来たりて 祭りのごとく シバテン・ガタロの 奉納相撲 天狗のうちわを軍配に 座敷童子が行司を勤め 八卦はどうでも のこったのこった ちょうちん小僧も 供をばひきつれ 鬼火 狐火 舞台を照らしゃ 白拍子なる 一反木綿 舞台の上で その身打ち振り くるくると 晒して振りを 見せまいらしょう いつしか明けて 光るあわうみ 妖怪どもも もののけ村も 再び水底へ 失せにける (SONGSに戻る) (ホームに戻る) ツチノコのはじめ (歌詞のみ) <曲の解説> 「百鬼夜行」の前に書いた、秀作です。曲がついていません。 もう少し削ったら、誰か曲をつけてくれないかなぁ? ♪<歌詞>♪ そもツチノコは 胴の無い おろちにも似た獣なり おたまじゃくしが血迷うて 化け損のうたが そのはじめ 春まだ浅い 飛騨の山 おたまじゃくしの男の子 そろそろ手が出る 足も出る この頃見る夢 女房を貰い 夫婦相和し 唄う夢 ケロリケロケロ ある日 じょなめく白蛇が 身をくねらせて 泳いで池に 白い姿は 富士の雪 うろこ滑らか 柔らかく 黒い瞳の輝きに 空の星さえ 恥じらうそぶり 色香ただよう 桃色の 舌をチロチロのぞかせて 白蛇の姫の 言う事に 『もしもしそこのカワズの子 ちょいと お前に言問わん ヘビづてに聞くに この辺り 立派なおろちの 住むという 噂に胸がときめいて 色の手習い テンドツツン 二つ文字から 書きそめて 逢うてもおらぬに 角文字の 悋気恥ずかし 逢うても恥ずかし 逢うは見初めの初めとて おろち訪ねて 来たものの 都育ちの因果な事じゃ 昼なお暗き 森の中 迷い迷いて 池の中 やっと逢うたるそなたじゃもの 喰うたりはせぬ 教えてたも 青いおろちの 居所を』 白蛇に見られ 身をすくめ 息も出来ずに 固まって ただ居るおたまに呆れ果て 青大将の居所を 聞くのを諦め 去って行く 白蛇の後ろ姿の美しさ 見送るおたまの胸のうち なにやら 苦しい せつない 熱い 気付けば おたま 白蛇を慕い 焦がれる思いは 夕焼け紅く 山の端 染めて 見初めてみても 畢竟おたまはカワズの子 いっそこの身が おろちであれば せめて今生 一度でも 白蛇の姫と 語らって 笑ってみたい 歌ってみたい できる事なら 添うてもみたい 南無八幡大カワズ 南無八幡大オロチ 南無南無四方の全ての神よ 叶え給え 愚かな願い 小さきおたまのこの願い 不思議に たちまち かきくもり 池の水面は 波が立ち モヤモヤ白く立ち込めて 稲妻鋭く 池に射す めだか どじょうは 逃げ惑い いつも寝ているナマズの翁 ヤヤびっくり!と 飛び起きて 髭を大きく打ちふれば あたり一面 揺れ動き おたまはいつしか 土の上 なにやらかゆいぞ モゾモゾするぞ こいつはどうだ 驚天動地 気付けばおたま 大きくなって 身の丈2尺の ヘビもどき あらあら不思議 有り難や 尻尾くわえて 喜びの舞 転がる転がる ゴロ ゴロ ゴーロゴロ(合) なれど あわれやその姿 あれはヘビとは 似つかぬ姿 ヘビに恋など身のほど知らず 頭は槌 身体はヒョロロ 堂々たる青大将に 及びもよらぬ 胴なき ヘビになりにけり (SONGSに戻る) (ホームに戻る) ツチノコ探し 女あり、世にツチノコという珍しき、ケモノおるとて、探しけり 出てこいな(合) そうれ出てこい、ツチノコどこじゃ(合) ゆうべの夢もそこそこに、朝は六つから起き出して、 足拵えもしっかりと、きりりとしゃんとたすきがけ。 杖のかわりの、この手網(たも)を、トンとついたは、足の上。 おぉ、痛い、おぉ痛い、いたいたいたらばツチノコ、 捉えてくれよう、この手網で、 ぱっとかぶせて、ぐっと掴んで、はてさてどうしてくれようかと 思案重ねて歩くうち、ついた北山、腹も北山。 ひもじの前には、色さえ勝てぬ、ゆもじの前さえ、掻き抱く。 まだ男には近江路の、山の飛騨(襞)をば掻き分けて、 ツチノコ恋しと美濃(蓑)つけて、美作まさかと思いしが、 ここが備後(BINGO)と仰ぐ峰、思うたが縁じゃ、しょんがえ 道なき道を、草掻き分けて、鳥に驚き、足滑らせつ、 鬼が出るか、蛇がでるか、スッテン転べば、触れる穴 もしや巣穴か棲み家かと、手網でつついて(合)覗いてみれば(合) 奥に光る、黒い眼は、ありゃありゃヘビじゃ、大きなオロチじゃ、恐ろしや。 (合方 女、最初は腰が抜けて動けないが、ようようの事 走り去る) 逃れて走って、池の端、水面に映るこの姿、山姥のごとくあさましく 髪を直してまずは一息、かがみ込んだるその時に、 足をば滑らせ(合)アバガバガバと(合)、 潜るは廻るは、今生最後と、思えば廻る、灯篭の 短きこの身、南無八幡と、祈りてこの身を、水にぞ任せば、 こりゃいかな事、すっくと立てば、腰より低き、浅き池 ありゃありゃこりゃこりゃ、恥ずかしや 見渡せば、そろそろ陰る山の内、山の恵みの 有り難く わらびにコゴミに土筆に蓬、タラの芽またでる、みなまで取るな、 明日また来ょうとぞ、手網に入れて、明日また探さん、ツチノコを 山のあなたの空遠く、夏には流れの魚と共に 秋には、栗・柿・芋・キノコ、実りと共に待っておれ いずれ捉えてくれようぞ、ツチノコ、その日がくるまでは いざや帰らん、賎が住処へ (SONGSに戻る) (ホームに戻る) 本家取り 環境鹿子 ツチノコ道成寺 人の他には 木々もなし、我ら 絶えるを 待つばかり、山削りて人や 増えるらん 人に恨みは 数々ござる、人の命が尽きる時は、諸行無常と泣くように 切られる木々の倒れる音の 是生滅法と響くなり、チェーンソーの響きは生滅々己 山々は 拓かれ 残るはゴルフ場、聞いて驚く人もなし 我は住いを追われたる 歳ふる 最後のツチノコの その身を 借りて出で来たる、草木を 守る野椎(のづち)姫 父イザナギの 恩を受け、母イザナミに 育まれ 草野(かやの)姫とも 呼ばれしが、深山を静かに 守り来て 齢 二千と数百年、ツチノコどもと 数えたり そもツチノコというは、胴なき ヘビの姿して、野山に住まう 獣のたぐい 天狗、河童諸々の 妖怪変化とは 異なれり 即ち、飛騨に、奥州に、美作備前の国境にと、巣穴を作り 子を育み 餌をばとりて 生くる身なれど その素早さに 人々の 目にとまりたる ことも少なし 小さきツチノコ 野槌の子、虫やカワズを糧として 歩む姿はノコノコと、ヘビとは異なり くねる事なし 育てば 樹上の鳥さえも、飛ぶこと一間、捕獲せり まことは優しき 性なれど 犬めに追われ 逃げかねて 食い殺したる 事もあり この現し世の、このごろの 人の情の冷たや薄や、住処を追われ、敬うものも 我を知るもの一人とてなく、ツチノコ絶ゆるその時に、我も消え去るその定め 誰に見しょとて 紅かねつけよぞ、今にも果つるこの命、せめていまわの 今ひとたびの ひとさし舞わん この山寺で、鐘に恨みはなけれども、人の持つ金、作る金、 かねのつく字のおそろしや どうでも人は悪性もの、都育ちは蓮葉なものじゃえ 花の都は 人で溢れて 深山に育つ ツチノコ この身は 肩をすくめて 尻尾くわえて ちょいと丸山 こりゃまるで毬 いっそこの毬 ツチノコの毬 つけば吉原 跳ねれば転がる その先ゃお屋敷 鍋島原の 煩悩菩提の 猫も踊れば それがほんに 難儀な事じゃ ひぃふぅみぃみぃ いぃむぅにゃぁにゃぁ 我も我もと 出で来る わいら たたりもっけに朱の盆 くだん 羽根をついたは大かむろ 行き逢い神に 懸想して 丸まるツチノコ 仲丸かれと 思い染めたが縁じゃぇ 面白の 四季の眺めや 何処の山も 春はうららに花盛り、梅と さんさん 桜は いずれ兄やら弟やら ワラビゼンマイ 土筆に蓬 、タラノメまた出る みなまで取るな 夏は静かに ホタルの光る、星とつんつん 月とは ともに敵は雲よ陽よ 清き流れに 鮎 フナ 岩魚、ふるさと恋しと 鮭さえ登る 秋は黄金の 実りの森よ、紅葉 かんかん 楓は いずれ姉やら妹やら キノコノコノコ、芋の子ムカゴ 冬の眠りに 備えるツチノコ 冬は真白に 綿帽子、冬の ねんねん眠りと 帯は いずれとけよう 時きたりなば 鹿 キジ ウサギの 足の跡、朝日に白く 可愛ゆらし これより先も 山 拓くなら、我らツチノコ 草木の守り 古狸妖怪と なり 人の世を 恨まん 乱さん たたりてやまん その日の 無きを 祈る 鐘の音 (SONGSに戻る) (ホームに戻る) 反魂丹売り とざーい!罷り出でますは 越中富山 反魂丹の薬売りにございます。 今日も今日とて 江戸市中 声はりあげて売り歩く 物売りとは申せども ただお集まりの皆様に だれかれかまわず 買え買えと ねだるものではございません。 まずは、私がてなぐさみ 手妻の一つもご覧あれ ♪ とりいだしたる 半紙がひとひら そこここ拭くなら 拭く(福)の紙 細かく千切れば 一枚が二枚 二枚が四枚 八枚 十六 さんじゅと二枚 六十と四枚 かように細かくなりたるを 天地に祈りて ひとふりすれば やぁ!見事一枚につながってございます。とざいー! 首尾よく行きました上からは、もっともっとご覧あれ。 さぁさぁどちらさまも 集まったり集まったり! ♪ 薬尽くしを申そうならば お伊勢参りの 万金丹 オランダ渡りの一角丸 下野宇津の救命丸 夜泣きに桶屋の 奇応丸 吹き出物には毒掃丸 大阪浪花は和中散 役の行者の陀羅尼助(だらにすけ) 仁丹 赤玉 熊の胆(い) と あまた薬は数々あれど 越中富山の反魂丹 これにましたる薬はなし ♪ そもそもこれなる反魂丹 越中富山の二代目藩主 前田正甫(まさとし)公なるが 岡山藩より招きたる万代常閑(まんだいじょうかん)なる医者に 学び広めし 秘薬なり ♪ いずれもさまのはらいたに くだりもつまりも省みず お試しあらば すぐわかる その名も高き 反魂丹 ♪ たとえばめでたき七福神の 袋かついだ布袋様 時にはおなかも冷えましょう 鯛をかかえた恵比寿様 古い魚に御用心 大黒様の 食べ過ぎに 毘沙門天の癪の虫 鶴を従え福禄寿 長い頭の寿老人も 不都合あらば 飲用あれ さりとはいえど 弁財天の おなかの大きくなりたるは いっかななんとも しょんがいな ♪ さぁさあ 買ったり 反魂丹 お求め頂くご見物には この日の本に珍しき すだれの芸をばお見せしよう まずは買ったり 買ったり 買ったり!(清掻) はい、ありがとうございます。おや、こちらも、へぇへぇ、ありがとうございます 腐るものではございません、どうぞ余分にお持ちください。(一段落ついて) さーて それではお約束の すだれの芸をば ご覧に入れよう その名を連ねていうならば 唐人阿蘭陀南京無双(とうじんおらんだなんきんむそう) 他に比のない玉簾 ♪ 今日は東へ明日は西 旅から旅へと薬を商い 諸国を巡る玉簾 東西南京玉簾 江戸より巡る 旅簾 長唄取り混ぜ 踊りますだれ さて、さて、さてさてさてさて、さても南京玉簾 ちょいと曲げれば ちょいと曲げれば 「吉原大門」に早変わり(おらが在所のご紋) 吉原大門 お目に留まれば 蹴込んで 見しょう屋形船(炭焼き小屋) ♪(助六) 助六 揚巻後にして お江戸を立って 東海道 (肩に担いで道中振り) 五十三次 あまた宿々 なくてはならぬは 蕎麦屋の看板 (蕎麦屋の看板) 島田 金谷は川のあい 旅篭はいつも お定まり ♪(喜撰) さて、さて、さてさてさてさて、さても南京玉簾 難所と聞こえし遠州灘の 沖の暗いに 白帆が見える (船の白帆) ♪(紀文大尽)(あれは紀の国 蜜柑船) 船の白帆がお目に留まれば 竜宮城へと寄り道じゃ ちょいと伸ばせば 浦島太郎さんの 魚釣り竿にさも似たり(魚釣竿) ♪(浦島) 浦島太郎さんの釣りたる魚 ぴんとはねたる 目出鯛に えいさら 鯉の滝登り(鯉) ほんに鵜の真似 鴉飛び(東京タワー) ♪(舌出三番叟) さても南京玉簾 近江へ続く 瀬田の唐橋 (瀬田の唐橋)(船で渡るは竹生島) 登ればすぐにも京へと入る 同じ橋でも加茂川に うちわたしたる五條橋(太鼓橋) ♪(五條橋) 五條の橋より眺むる京の 神社仏閣におわします 阿弥陀如来か釈迦むにか 後光に見えればお慰み(阿弥陀の後光) ♪(喜撰)「なまいだー」 加茂の河原にそよふくかぜに、なびくは 数ある御茶屋の暖簾(日米国旗) 御茶屋の暖簾がお目に留まれば しだれ柳と早変わり(しだれ柳) 風に柳と浮き名を流し 南京無双玉簾 今日は京にて 打ち止めでございます ♪ 今日はこちらが売り収め どうぞも一つお求めあれ 次なる秋が来ましたら またきます故 よろしゅうに へいへい おおきにありがとう 坊や おなかを いとうてな 万一おなかが痛んだら そんな時こそ 反魂丹じゃ ♪ ふと見れば 梅のつぼみも膨らみて 里への思いも 膨らむばかり 春を待つ 吾子(あこ)に土産を買うたなら いざや帰らん はるかわが里 (SONGSに戻る) (ホームに戻る) |